昨日、ようやく労働保険の保険関係成立届を書き終えたひよこ社長
提出先の労働基準監督署に持って行くだけでいいんだっけ…?

「ひよこ社長、もう一つ一緒に出す書類がありますよ
概算保険料申告書です」
「え?まだあるの?
そういえば昨日そんなこと言ってたっけ」


「はい。概算保険料申告書を保険関係成立届といっしょに提出しましょう
こちらは人を雇ってから50日以内に提出すればいいのですが、何度も役所に行くのは大変なので一回ですませてしまうほうがラクです」
「保険関係成立届は人を雇ってから10日以内だったけど、こっちは50日以内なんだね
でもいっしょに出せるならその方がいいな」

「これも紙に書いて提出すればそれでOK?」


「こちらは用紙を提出するだけではダメで、初年度の保険料を申告して前払いする必要があります」
ひよこ社長、また軽くフリーズ
「か、金はらうのか…?」

✅ 概算保険料ってそもそも何?

「労働保険料というのは、毎年“概算 → 確定 → 精算”という流れになります
初年度はまだ従業員の人数も、どれくらい働くかも確定していませんよね?」
「たしかに…まだ2人しかいないし」


「だから初年度は“概算”、つまり見込みの賃金総額で保険料を計算します」
「なるほど、その計算した保険料を前払いするわけか」


「そのとおりです
で、実際に払った賃金で保険料が確定するという仕組みですね」
「もし払い過ぎていた場合は?」


「払いすぎていた場合は返ってきますので心配いりません
通常はその返ってきた分を翌年度の概算保険料に充てるのが一般的です」
概算保険料を確定・精算し、あらためて翌年度の概算保険料を納めるこれらの手続きを「年度更新」といいます
労働保険の保険料は、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間(保険年度)を単位として計算し、すべての労働者(雇用保険については、その対象者)に支払われる賃金の総額に、定められた保険料率を掛けて計算します
この年度更新の手続きは、毎年6月1日から7月10日までの間に行います
🎯 概算保険料申告書の全体像

「じゃあさっそく書いていきましょう
申告書はこんな構成になっています
上の方から順番に説明していきますね」
- 申告書の種類
- 労働保険番号
- 労働者数・雇用保険被保険者数
- 保険料算定内訳
- 納付額
- 事業の種類
- 申告者情報
- その他
「うわ…なんか数字多そう…」
「安心してください
ひとつずつ見ればそんなに難しくありません」
実際の申告書は、下部に納付書(領収済通知書)がついています
申告手続きが終わったら切り離して受け取ります
📌概算保険料申告書の具体的な書き方
📌 1. 申告書の種類にマルをつける

「申告書は概算・増加概算・確定とも同じ様式を使用します
今回は概算保険料の申告ですので、”概算”にマルをします」
「なるほど、来年確定保険料を申告するときには”確定”にマルをするワケだな」

📌 2.労働保険番号を書く
「これは昨日言ってたやつだね」


「そうです
保険関係成立届を提出すると”労働保険番号”が振り出されますので、その番号を記載します」
「この番号は、今後労働保険関係の書類ほぼすべてで記入しますので、忘れないようにしましょう」
📌 3.労働者数・雇用保険被保険者数を書く

「”常時使用労働者数”の欄にはスタッフ全員の数、”雇用保険被保険者数”の欄には雇用保険に加入する人の数を書きます
ひよこ社長の店は2人なので常時使用労働者数”の欄には「2」、Aさんのみ雇用保険も適用なので、雇用保険被保険者数”の欄には「1」を書きます」
「俺は?
社長はノーカウント?」


「いえ、社長というか個人事業主だからです
個人事業主は雇用保険にも労災保険にも入れません
事業主の身分で入れるのは“特別加入”という別制度で、今回は対象外ですね」
📌 4.保険料算定内訳

「まずは算定期間を書きます
これは保険関係成立の日から、次の3月31日までです」
「来年は、また4月1日から次の3月31日までが算定期間になるワケだな」


「次に”保険料算定基礎額の見込額”、つまり次の3月31日までに支払う賃金の予定額を千円単位で記入するのですが、ここは少し注意が必要です」
「スタッフ全員が雇用保険の対象であれば、”労働保険料”の欄に全員の賃金の予定額を書けばいいのですが、ひよこ社長の場合は労災保険分と雇用保険分を分けて書かなければなりません」
「Aさんは労災も雇用保険も対象だけど、Bさんは雇用保険対象外だからだね」


「そうです
そして労災保険料率と雇用保険の料率をそれぞれ分けて計算しなければなりません」
「今年の小売業の労災保険料率は1000分の3、雇用保険の料率は1000分の14.5ですが、これは年によって変わりますのでその都度確認が必要です」
📌 5.納付額を書く

「先ほどの労災保険分の賃金見込額と、雇用保険分の賃金見込額にそれぞれの料率を掛けて出た金額を右側の保険料額の欄に書きます」
「つまりAさんとBさん2人分の賃金見込額に労災保険料率の1000分の3を掛けて、Aさんの賃金見込額に雇用保険料率の1000分の14.5を掛けたものを合計する?」


「はい、それでOKです
スタッフ全員が雇用保険の対象であれば、労働保険料の欄に記載したすべての賃金見込額に1000分の17.5、つまり労災保険料率と雇用保険料率を合計した料率を掛ければいいのですが、今回の場合は別で計算しなければなりません」
「なるほど、なんとなくわかってきた…」

ここで言う雇用保険料率は事業主負担分と労働者負担分を合わせたものです
この内、労働者負担分にかかる保険料は労働者の給与から控除(天引き)しなくてはなりません
尚、労災保険はすべて事業主負担ですので、労働者からの控除は不要です
📌 6.事業の種類を書く

「これはもう大丈夫ですね」
「”卸売業・小売業”だったな
勝手にかいちゃダメなんだよね」


「はい、“労災保険率適用事業細目表”に従って書かなければなりません
ここが違うと保険料率が変わってしまいますので、意外に大事です」
📌 7.申告者情報を書く

「ここは”事業”の欄と”事業主”の欄があります
”事業”の欄には、実際に事業を行っている場所の住所とお店の屋号、”事業主”の欄にはひよこ社長の名前と自宅の住所を書いてください」
「法人の場合とは書き方が異なりますので、注意しましょう」
「”事業”の欄にはお店の住所と”ぴよぴよリサイクル”、
”事業主”の欄には俺の名前と住所を書くというわけか」

📌 8.その他の記載事項

「あとは細かいところですが、提出日や保険関係成立年月日なども忘れず記載しましょう」
「書く欄がちいさいな」


「”延納の申請”の欄には「1」と書きましょう
納付金額が多く、一定の要件に該当すれば分割で納付することができるのですが、今回の場合は一括で払います」
「確かに、金額が大きくなったら分割の方がありがたいもんな」


「”期別納付額”の欄には計算した保険料をそのまま書きます」
「分割で納付する場合は第2期、第3期にわけて書くということか」


「”加入している労働保険”の欄は労災保険、雇用保険の両方にマルをつけます
”特掲事業”の欄は”該当しない”にマルをすればOKです」
「これでほぼOKだね?
今回も空欄が多いけど、不要なところは書かなくていいんだもんな」

”特掲事業”とは農林水産や建設の事業などが該当し、それ以外の事業は”一般の事業”とされていて一律同じ保険料率です
特掲事業は一般の事業に比べてやや高い保険料率が設定されています
🌟 まとめ
みらい先生が静かにまとめる
- 概算保険料申告書は成立届とセットで提出するのが一般的
- 初年度は“見込み賃金”で計算すればOK
- 事業主分は含めない
- 事業の種類は労災保険率適用事業細目表を見て記入
- 保険料は労災分と雇用保険分を分けて計算(スタッフ全員が雇用保険対象であればまとめて計算)
- 保険料率は毎年変わる
- 提出は所轄の労基署へ

「よし、ひよこ社長
ここまで来たら大きな前進ですよ
次は雇用保険適用事業所設置届に進みます」
「だいぶ…会社っぽい感じになってきたな…!」

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